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やななよ永遠に、、『奇跡は段ボールの中に』トークイベント&サイン会へ【読書感想文付き】

令和元年初日に発売したやななの本

201951日、元号が平成から令和に変わった日に発刊された『奇跡は段ボールの中に』。岐阜市にある柳ヶ瀬商店街のアイドルであった【やなな】について書かれた貴重な本である。今回、201977日の七夕の日に岐阜高島屋の9階自由書房にてトークイベントと先着30名限定のサイン会が開催されたのでレポートします。

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そもそも『やなな』ってなに?

2008年に誕生した岐阜県岐阜市柳ヶ瀬の非公式キャラクター。アーケード内を”さんぽ”したり、時には外に遠征して柳ヶ瀬商店街活性化のために奮闘していた。全国のゆるキャラの人気投票では岐阜県のお隣、滋賀県彦根市の彦にゃんたちと並ぶ人気のキャラクターにまで昇り詰める。2013年3月31日人気が絶頂な中、舞台から姿を消してしまった。最後のイベントでは岐阜県のみならず、全国からやななファンが訪れたことでも話題となった。


※書籍を購入するとサインがいただけるとのことで、サインをいただきました。しっかり自分の名前も入れてもらいました。

マネージャーの佐藤さんは滅多にサインはしないそうです。持っている方はラッキーかもしれません。たまたま会場に数少ないサインをもらった方が見えました。

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著者かのうゆきさん&やながせゆっこさん、やななの鬼マネ佐藤氏のスペシャルなトークイベント

トークイベント開始15分前に到着。専用コーナーが設置されており、本がずらりと並んでいます。

書籍を購入したら、整理券がいただけるとのことで、まずは本を購入します。トークイベントの後にサイン会があるとのことで期待して待ちます。

そして、主役の到着を待つこと10分ほど。定刻通りに見えました。

やながせゆっこさん進行でイベントがスタート

岐阜を盛り上げるご当地アイドルのやながせゆっこさんが司会で始まりました。発刊当初に1度岐阜高島屋の同じ場所でトークイベントをしたそうかんですが、今回は著者のかのうゆきさんも参加とのことで貴重な機会とのこと

著者のかのうゆきさんは大垣市出身。現在は東京で活動されています。小説の執筆は、今回が初めてだったとのことで、そこから話を展開していきます。

かのうさんが小説を書き上げるために取材した人数はなんと35人。やななに関する様々なエピソードを聞くことができて、大変興味深いものだったとのことでした。

柳ヶ瀬ゆっこさんは岐阜を拠点に活躍するご当地アイドルで、やななの最後の1年間マネージャーとして支えてきた存在。現在はやななの鬼マネだった佐藤氏がマネージャーとして活動して、テレビなどのメディアにもたびたび登場しています。

柳ヶ瀬ゆっこさんのブログがこちら

やななのプロ意識

やななのマネージャーだった佐藤氏が当時の活動を振り返ります。「やななは妥協がなかった」。段ボールで素顔を隠すことを徹底したそうで、周りの人たちもやななを特別視することなく、1人の人?として対等に関わっていたとのことです。顔も出せないので視界が悪く、動きづらかったりと活動する上では苦労はあったが「大変だとは思っていなかった」とやななが話していたとのこと。

またマネージャーの佐藤氏がディズニーの世界観が好きで、やななの活動でもある種のの世界観を統一するようにしていたそう。車での移動でも段ボールで筆談を徹底していたそうです。

やななは自虐キャラだった!?

やななが登場した当時は、せんとくんや彦にゃんなどが人気を博したゆるキャラ全盛期。彦根でゆるキャラグランプリの第1回開催に出ようとしたそうです。その際、やなながゆるキャラなのか?で一悶着ありました。ゆるキャラは基本着ぐるみ。やななは段ボールこそかぶっていますが、あとはまるで人間のような雰囲気だったため、首を見せないようにストールを巻いたりして、ギリギリでゆるキャラ認定されたとのことです。

やななが活動を始めた当時は、柳ヶ瀬商店街はまだ治安が悪かったのです。アーケードは穴だらけの状態で、やななの段ボールも穴が空いているのはそんな商店街を皮肉ったものだったようです。

そんなネガティブな自虐キャラで出場したゆるキャラグランプリは、最初は全然受け入れられなかったそう。中には泣き出す子どもたちまでいて、やななはショックを受けたそうです。

やななは即座に考えて、その時とった対応策がタコ踊り。すると、会場の2割ほどの人が興味を示して笑ったりしてくれたそうで、なんとか事なきを得ます。

著者かのうさんに聞くやななを描いてみて

続いて、著者であるかのうさんにお話を聞きました。書く上で気をつけたポイントについて。やななの心情を率直に描こうというものでした。外側のキラキラとしたものだけでなく、内側もしっかり描こうということですね。

苦労した点についても伺っていました。やはり、言葉をしゃべらず筆談でのコミュニケーションなので、それを文章に起こすことが大変だったとのこと。コミュニケーションに関しては、佐藤氏も大変だったと振り返って話されていました。当初は意思の疎通に時間がかかっていたけど徐々に慣れていき、やななが3文字ほど書いただけで何を伝えようとしてるかはわかるようになったとのこと。

やななの活動を通して変わったことは?

続いて、やななの活動を通しての変化について聞いていきます。かのうさんは、地元に対して誇りを持てるようになったとのこと。事実、市内の小中学校にはやななの本が置かれているそうです。これは地域で認められている証拠ですね。

佐藤氏は自身の活動から振り返ります。アカペラグループで活動後、NPO法人などでも動いてみえ、当時から学生(特に大学生)とのミーティングをしていて、それは現在でも続いているそう。学生と協力して街おこしをしていく中で生まれたもののひとつがやななです。

現在、柳ヶ瀬商店街で行われているイベントの多くがやなながキッカケだったのです。例えば、2019年に3年振りに復活したおばけ屋敷や柳ヶ瀬ジュラシックアーケードに、サンデービルヂングマーケットがあります。

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しかし、当初から活動が順風満帆ではなかったやなな。先ほども登場したゆるキャラのせんとくんや彦ニャンは地域からも協力が得られたことで数千万円という予算がついていたそうです。やななは知名度もなく、そんなに予算がありません。

そんな中、佐藤氏は考えました。どうにかやななを広めるためには何ができるのか。そこで目をつけたのが織田信長です。織田信長は岐阜に拠点を置いていた歴史上の重要人物。織田信長が岐阜城を拠点としていた当時から450年が経った岐阜市のプロジェクトに協力したことをキッカケにやななに追い風が吹きます。最終的には10億もの予算がついたそうです。

やななが去った現在も佐藤氏は活動を継続して、やながせゆっこ氏のマネージャーとして岐阜市を金の街として売り出そうと金の御朱印巡りを提案されたりと勢力的に活動されています。

そんな活動を通して、徐々に柳ヶ瀬商店街も変わっていきます。悪かった治安もやななが問題なく散歩することができるまでになったのです。

 

本のおススメポイント

(著者かのうさん)
人の関わりというものを特に意識して表現しています。やななはどんな状況でもやななだった。それを見たやななの関係者の人たちについてもしっかり描いている。

(佐藤氏)
言葉を発することのないやななをどう表現するか。特に筆談で伝えることについてはそれを本で表現するのはとても難しいことだろうと思います。あとは徹底したやななのキャラクターの設定です。

 

最後は質問タイム

トークイベントの最後は質問タイム。時間の都合で2問返答していました。

Q1.やななの活動でみんなに協力してもらえるようになったのはいつから?

佐藤氏より返答がありました。
A.やななが登場する前の柳ヶ瀬商店街はとにかく大変な状況だった。そこから、「ひとひとの会」というものを設立して、少しずつ商店街の人たちの理解を得ていった。(コツコツとした活動を続ける中で)柳ヶ瀬商店街で非公式だけど、公認された。そこから賞を受賞したり、メディアで取り上げられたりする中で「岐阜県ときどき商工労働部長」という肩書をいただいてからですかね。

やななも一日にしてスターに駆け上がったわけではなく、周りのサポートを受けながら活動を継続させていたんですね。

Q2.出版はなぜ(引退してから数年経過している)いまのタイミングだったのですか?

こちらは出版社のかたが返答してくださいました。
A.理由としては大きく2点あります。当初は、鬼マネである佐藤さんの本を出版する予定だったが、本人の希望もあり変更になったとのこと。佐藤氏は「自分は出版の話は基本断っていて、そもそも自分よりやなななどのひとつひとつのケースを話にしてもらったほうが面白いと思った」と話されていました。そこからやななのすごいところを佐藤氏がアピールしたことがキッカケとなったとのこと。
また、時代が平成から令和に切り替わるタイミングで、柳ヶ瀬を支えたひとりであるやななを取り上げて平成のひとつの締めくくりとして出版することが決まりました。

物事にはなんでもタイミングというものがあります。やななが出てきたり、本が出版されたりするのもすべてタイミングだったんですね。

30分の予定だったトークイベントは15分ほど時間が延長していました。やななの話や著者であるかのうゆきさんの話を聞けたことがとてもよかったです。ありがとうございました。

※話していた内容はできる限りメモして書き起こしていますが、表現などは実際とは異なる部分がありますのでご了承ください。

読書感想文

個人的な感想ですので、読み飛ばしてもらって結構です笑

やななが岐阜の柳ヶ瀬を盛り上げるために誕生し、駆け抜けていった日々をフィクションという形で描いた作品は、普通では考えられないような展開であった。そもそも頭は段ボールでできた人魚という設定に無理があると思ってしまうが、初期設定から考えこまれていたからこそ、やななはあれほどまでに活躍できたのだろう。
初めから終わりを考えていたからこそ、やななをいい意味で演じきれたのである。いつの時代も、新しい流れを作ってきた人たちは、最初は誰にも理解されないのである。もし、これがありきたりな二番煎じのキャラクターだったら、ただ存在しただけかもしれないが、彼女は柳ヶ瀬商店街の看板のような存在感を放ち、絶頂の内に舞台から降りた。短期的な目線で見れば、商店街にとって痛手だったかもしれないが柳ヶ瀬の未来を考えたときに変化は必要だった。キャラクター頼りではない、人が繋いでいく未来が。

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柳ヶ瀬のアイドルは永遠に、、、

岐阜市柳ヶ瀬に彗星のように現れたご当地アイドル?ゆるキャラ?である【やなな】。平成の柳ヶ瀬を支えた彼女の活躍が小説という形で描かれました。タイトルは「奇跡は段ボールの中に~岐阜・柳ヶ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~」。著者は岐阜県出身のかのうゆきさん。時代は令和に変わっても、やななのことは忘れないで。やななを支えてきた人たちの願いが込められたすてきな作品です。

 

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ブルーのげん
岐阜在住の30代。ぎふのグルメや観光、暮らしの情報をお届けします。新しいお店や人気店など幅広くご紹介しますのでぜひチェックしてください。